数学の勉強の仕方①

 この記事には、僕が受験数学の勉強をする上で大切にするとよいと思っていることをまとめます。あくまで個人の意見なので、鵜呑みにすることはせず、参考程度にしておいてください。

定義を大切にする

 数学をする上で最も大切と言ってもよいものが、定義です。数学の議論はすべてここから始まります。定義とは、約束ごとです。xの2乗とは1にxを2回掛けることと約束する。三角比とは、順列とは、微分とは、内積とはこういうものだと約束する。そうやって、数学をやる全員が同じ舞台で問題を考えることができるようになり、正しいことを正しいと認識できるようになるのです。

 定義をきちんと理解していないと、例えば次のような答案をかいてしまいます。

最小値の定義がわかっていない人の答案です。これを読んでいる人は、どこがまずいかわかりますか?これは、これ以降の更新の「よくある質問」で取り上げる予定のもののうちの1つです。

 これはほんの一例に過ぎませんが、とにかく数学をやっているときに疑問があれば、必ず定義に戻る癖をつけるべきです。ルールを知らないのにチェスができる人はいないでしょう。戦術以前に、駒の動きがわからないのならルールブックを読むべきです。

問題演習のやり方

 続いて、問題演習のやり方です。定義を理解したら、簡単な問題から取り組みましょう。数学は地続きです。難しい問題集をやれば難しい大学に合格できるというわけではありません。

 さて、簡単な操作や定義からわかることだけで答えがわかる問題は多くの人ができるでしょう。例えば平方完成して軸と頂点を求める問題であったり、三角関数を合成するだけの問題であったりです。この手の問題は、5分考えて(場合によっては1分でもよい)わからなければ、さっさと答えを見ましょう。言うなれば、ほぼルールを覚えていない状態です。ルールは考えてわかるようなものではないので、解説を読んだり教科書を読んだりしましょう。

 そして、この次の動作が肝心です。答えや教科書を閉じて、今解けなかった問題の答案を1からつくってください。数学が苦手な高校生にありがちなのが、答えを読んでなんとなくできた気になるというものです。自分でゼロから知識を引き出す練習をしないと、使える知識にはなりません。こんな経験はありませんか?「答えを見ればわかるのに、自分ではできない」「課題ではできたのに、テストではできない」こういう人は、アウトプットの量が圧倒的に足りていません。思い出す訓練をしましょう。読書では数学の力は伸びません。「今さっき答えを見たのに、また解けない!」そんなこともあるでしょう。また答えを見て、理解したら閉じて、自分で再現しましょう。覚えきれなければ、答えを横において、考えながらかき写すことも効果的です。

 以上の部分は、基本レベルの問題をやるときのみならず、すべての数学の学習に通ずるものであると思ってください。

 基本レベルの演習が終わると、標準~難レベルの演習に入っていきます。標準レベルの演習では15分程度、難レベルの演習では25分程度を目安に取り組むとよいでしょう。この時間内に解ききれれば最高ですし、方針が立たなければ答えを見て、上にかいたように学習します。ノートは最低2冊用意して、重要なことや苦手な問題をまとめておくものと、ひたすら問題を解きまくるノートとして使いましょう。さらに、標準~難レベルの問題では、自分が解けなかった問題には印をつけておいて、1日後でも1週間後でもいいですからもう一度解きましょう。多分、また解けません。悔しいと思って、また答えを見ましょう。どんどん身体に染み込んでいきます。

 このように、数学の勉強はとにかく時間がかかります。しかし、きちんと時間をかけて勉強することがじつは一番の近道なのです。皆さんが考えるべきは明日の定期テストでよい点をとることではなく、入試本番で合格点をとることです。一夜漬けでやって、次の日は覚えてるけど1週間後には忘れていますではダメなのです。

 本当は1回の更新でかききりたかったのですが、思いのほか長くなってしまいました。もう少しこのタイトルでかきたいことがあるので、それは次回の更新にすることにします。ではでは、よい数学ライフを!

東進の夏期特別招待講習